シソ精油と「ペリルアルデヒド」がウイルスや細菌の生存時間を最大90%カット
私たちの身近な薬味として親しまれている「シソ(紫蘇)」。 実は古くから抗菌作用があるとして知られていましたが、「どのような病原体に、どのくらいの濃度や時間で効果があるのか」という詳しい仕組みは、科学的に十分に解明されていませんでした。
京都府立医科大学と京都府立洛北高等学校の共同研究により、シソの成分が持つ優れた「抗病原体活性(ウイルスや細菌を抑える力)」が詳しく解明されました! 掲日:2026.09.07
しかもこの研究、スーパーサイエンスハイスクール(SSH)に指定されている高校3年生の生徒さんたちが筆頭著者として活躍したという素晴らしい成果でもあります。
今回は、この研究で明らかになったシソの秘められたパワーについて解説します。
- シソの主成分「ペリルアルデヒド」がすごい!
シソ精油に含まれる成分を詳しく分析したところ、「ペリルアルデヒド」という成分が約45%を占めていることが分かりました。
研究グループが実験を行った結果、シソ精油が持つ高い抗病原体活性は、まさにこのペリルアルデヒドが主役となって発揮されていることが突き止められました。

どのような病原体に効果があるのか?
実験では、以下の病原体に対して高い効果が確認されました。
- 黄色ブドウ球菌(代表的な細菌)
- アカカビ(ロドトルラ・ムチラギノーサ)(浴室などで見られる酵母様真菌)
- インフルエンザAウイルス(膜を持つ「エンベロープウイルス」)
※一方で、ノロウイルスの仲間などの膜を持たない「ノンエンベロープウイルス」に対する効果は限定的であることも分かり、構造によって効き目が異なることが明確になりました。
- 液体として使った場合の効果(実用濃度域でしっかり効く!)
具体的にどのくらいの濃度と時間で効果が出るのかを検証したところ、実用的な濃度で十分な効果が得られることが示されました。
- ペリルアルデヒドの場合:
- 約1%の濃度 ➔ 10分で十分な消毒効果
- 約0.5%の濃度 ➔ 30分で十分な消毒効果
- シソ精油の場合:
- 2%の濃度 ➔ 10分で十分な消毒効果
- 1%の濃度 ➔ 30分で十分な消毒効果
日々の衛生管理に応用しやすい濃度で、しっかりとした消毒効果が得られることが数値で裏付けられています。。
- 「燻蒸(くんじょう)」で病原体の生存時間を70〜90%短縮!
シソ精油のような揮発性(蒸発しやすい)成分は、液体として塗るだけでなく、空間や表面に届かせる「燻蒸(くんじょう)」という使い方も期待されています。

今回の研究では、これまで難しかった「低濃度の成分による燻蒸効果」を正確かつ連続的に測定する新しい評価モデル(気液平衡制御モデル)を構築することに成功しました。
この新モデルを使って、ガラスやポリエステル表面に付着した病原体をシソ精油やペリルアルデヒドで燻蒸したところ……
- 細菌・カビ・インフルエンザウイルスの生存時間が「約70〜90%」も短縮!
例えば、ガラスの表面で通常なら480分生き残るインフルエンザウイルスが、燻蒸によってわずか50分程度まで短縮されました。
アルコール消毒などを直接吹きかけるのが難しい布製品や空間、精密機器のある環境などでも、穏やかな燻蒸によって衛生的な状態を保てる可能性が開けたのです。
- 今後の期待とまとめ
シソは短期間で繰り返し栽培できる、環境にやさしい再生可能な植物資源です。
今回の研究により、「シソの香りで抗菌」というイメージが、「どの濃度で何分作用させれば良いか」という明確な科学的根拠(エビデンス)へと進化しました。
将来的には、以下のような分野への応用が期待されています。
- 日常の衛生管理・感染症対策
- 食品の保存・衛生管理技術
- 液体消毒が難しい場所・物品の保存・衛生管理
身近なシソに秘められた科学の可能性、今後の実用化がとても楽しみです。