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ささやかな地理の愉しみ

以下の内容は日々の出来事を淡々と書いている軽さなのでご勘弁を。

さて、

なぜか駅や道路でよく尋ねられる。逆に尋ねられない人を想像するに、イケメン、美人、高い身長、ビシッと服装が決まっている、紳士淑女の雰囲気の人には気後れするので聞けない。筆者はどの一つも該当しないので尋ねやすいのだろう。若い人ならスマホで検索することで対応することができるが、そうでない人も結構おられるのだ。

先日、あまり利用しない田園都市線のホームに立っていたところ、目を不自由されているご婦人から「次の電車は宮前平に止まりますか?」と聞かれ、次の6分後の普通に乗車してくださいと返答し、幸い当方も急がなかったので急行を見送り同行した。宮前平駅は川崎市で全国区的に言えば二子玉川と多摩プラーザの中間に当たる。

別の日、北海道物産の行商をされている人に溝の口に行きますか?と聞かれた。 デパートの特売場で1週間〜10日間の移動販売をされているとのこと。いつもの定宿から、今回は溝の口を指示されたとのこと。たまたま、当方はその街に行く目的があったので同行した。

全国のデパートを次から次へと移動は「寅さん」のようで、そんな雰囲気も見えてきて面白かった。寅さんと違うのは、3ヶ月分の物産展スケジュールが決まっており、路線案内のコピーもファイルされている。寅さん恋人のリリーさんがいないのだろうか。初めての土地には戸惑っている。それで尋ねやすそうな雰囲気の筆者に聞いてきたのだ。移動中しばし特売に関わる裏話などを聞いた。デパートが無くなり活気が失せた街。同時にこの人の仕事も影響を受けたとか。でもちゃっかり商品のPRをされて、筆者の住まいするデパートの日程での再会を約束して別れた。

横浜、埼玉、千葉の住民は外部からの流入組とあって自分の土地より東京23区の方が圧倒的に詳しい。東京での活動には縦横無尽蜘蛛の巣のような路線・道路事情を頭に入れておく必要がある。スマホの地図を見ながら乗り換えや見ながら徒歩移動は見栄えがよろしくない。

一方で、地理に少し明るいと思わぬ効果がある。例えば展示会には大手企業から中小企業、外国企業がブースを設ける。各地から集合していることもあり馴染みのない土地からも参集する。

デンマーク関連のブースで会社の資料を見ずに安城ですか?と質問したところ「その通り!日本のデンマーク」って言葉を安城以外の人から聞くなんて・・・と妙な感心をされ、一気に初対面にも関わらず旧知の仲になりスムーズな話題に展開。

次に面白い包材を展示する会社があった。名前の一部が埼玉の都市の名前だけに、てっきり本社は埼玉だと思って聞いたところ、摂津と返答。お客さんから摂津?それ何処?と聞かれ、関西で摂津といえば説明するまでもないだけに、他所の人への説明は意外に難しい。摂津は吹田と茨木に隣接して・・と説明しても、今度は茨木が茨城にイメージが飛んで????の人が多いらしい。筆者はダイキンがありますねと話すと、「そこです、ダイキンの前です」とやっと分かってくれた人だとして、ここでも一気にくだけた仲に。次期商品の開発について具体的な打ち合わせをすることになった。地理というか土地勘はこのような効能はある。スマホを開いて「大阪ですね」では熱が伝わらない。阪急相川駅・正雀の雰囲気、千里ヶ丘などの空気感を共有できることがポイント。

子供の頃、地図を眺めるのが好きだった。行ったことがない所だが何故か気になる都市のいくつかがあった。入社しての初勤務地が正にその気にしていた都市だった。何かの系に導かれているような感じがしたものだ。そう考えると出張で初めて訪れたところでも、将来に向けての必然性があると思うと印象に残る。たとえその時は空振りであっても、縦横無尽蜘蛛の巣の中での社会活動において後で有効な交錯点であったと思うだろう。

最後は柔らかい話題。横浜みなとみらいを歩いていた時、Nissekiは何処ですか?と英語で聞かれたので、 Red Cross Hospital …と話し始めたが、首を傾げるばかりで通じない。日赤病院への行き方を教えようとしても、先方は戸惑うばかり、よくよく聞いてみると「日石」ビル。で大笑いしてビルまで同行。ささやかな国際交流も また楽しからんや。

経営理念比較

京セラ設立、KDDIからAUへ拡張、瀕死のJALを再建された稲盛氏が逝去されたとの報道を受け、メデイアは一斉に同氏の活躍、とりわけ経営理念について紹介されている。鹿児島大から松風に就職されての独立は歯科関係者として縁を感ずる人もおられよう。

稲盛経営12ヵ条、六つの精進、従業員をやる気にさせる7つのカギなどはなるほどと思いつつ、なかなか実践するとなると厳しいと思うのが正直なところではないか。これらはWEBを通じて詳細を知ることができるので、あえて記載しないが、側近や指導を受けた方々のエピソードが面白く役に立つ。

その一つが接待は牛丼。大事な相手であれば、それ相当の格式のある場所で、それなりの費用を負担しての接待が普通。だが有楽町の吉野家が定番とのこと。偉くなられた人だから、時間を共有してもらうだけで光栄と思うレベルに到達していればこそであり、そうでなかったら「あいつは世の中を知らない、ケシカラン!」と怒るだろう。

きゅうりを買う時のエピソードも思い当たるところがある。数字は忘れたが、10本300円を買うか2本100円を買うかの選択では、後者を選ぶとのこと。将来利用するかどうかわからない設備に投資する方よりは現在の設備の合理化を徹底することが収益につながる。確かにその通りだが、大型設備をすれば仕事が来るとの考えは昭和40年までの話だが、案外今もこれに囚われている経営者は多いのではないだろうか。

中小企業の経営者が稲盛氏に状況説明した「全部借入金で設備を新設する」。それを聞いて、借入金はやめなさい。自己資金で賄える範囲が好ましいと説得した。確かに右上がりを期待しがちであり、自社の技術を強く信ずるほど、そうなりがちだが、稲盛氏は右下がりの確率もあることに注意が必要と諭されたとのこと。その後の相談者の会社は自己資金率の改善を図ったとのこと。

経営者だけでなく技術者は技術に惚れ込むところから何倍も期待値を高く持つところがあるので、仲間内だけでなく冷静な判断をする人と知り合っているかどうかがポイントとなる。幸い、筆者にはありがたいことに以前の上司だったF氏がおられる。何度か救われた。

筆者が知る京セラ勤務の人は転職組だがスキルもさることながら、人柄が良いことで社内にて重宝されそれなりの立場になった。決して給料が高い会社ではないが、更なる転職する意識はないとのこと。

人柄が良くて周りから頼りにされるほど、新しく未知の分野でも勉強して頑張ることを経営者も見てのことだろう。12ヵ条には努力する・燃える闘魂など精神面の文章もあるが、どこかの会社と違ってギスギスしていない。それだけに闘魂の文字はあるがジワジワと心に浸透して、いつの間にか有益な人材になるのだろう。あの笑顔も触媒効果が大きいのだろうと思う。上述の筆者に対するF氏。よく聞けば厳しいコメントであるが、笑顔と相溶化し、微細にコメントを微分することで、心に浸透溶解させてくれる。

笑顔(明るい姿勢)は良い成果をもたらせてくれる。コスモサイン加藤社長も笑顔が素敵な人だ。

さて、タイトルは経営理念比較である。「比較」に何を持ってくるか、相当規模の会社で社会にインパクトのある会社となると(例えば)今話題の会社の○通になる。その社員行動規範はWEBでは見ることができるので。興味ある人はチェックされたい。女性社員が自ら命をたたれた会社の背景や、今話題の案件で疑惑がもたれている(現段階ではあくまでも嫌疑止まりなのでブログでは、それが目的ではないので取り上げない)

1952年当時の社長が作成されたものであり、今なら彼を責めることもあると思うが、当時は戦後の闇市が幅を利かせていた時代。空襲で焼け野原になったが土地区画帳簿も消失した当時はどうなったか? 成金が跋扈し、腕力のある人物が区画を勝手に拡張して杭打ちをするような乱暴狼藉が罷り通ったところもある。

そんな社会背景があり、生き残るためには悠長なことは言っていられないとして、この行動規範ができたのであろうと解釈していた。だが、残念なことに改定し現代バージョンにしなかった。改定文章はたとえあったとしても経営陣のDNAは受け継がれていたものと推定できる。

経営理念の改定と徹底が待ったなしであるが、社員がそれに遵守するかどうかは経営者の哲学を見ている。その意味で稲盛氏の六つの精進とは非常に重要だと思う。ここにネットから抜粋しておく

 

電力・コモディティ物価

幕張メッセに向かう京葉線に乗り込んだのはいいが、車両間のドアの隙間にリュックの紐が挟まった。ドアの開閉にお手伝いしていただいたご婦人とお礼挨拶をかわし、最近の物価高について話題が転じた。6Pチーズが薄くなった、納豆は豆の量が減った、野菜の代わり?にもやし利用の新メニューなど。納豆はピンキリだが、売れ筋は98円が最も売れている。最近、つゆ、辛子パックを無くして49円の納豆もある。さすれば50円ぶんがあの味付けパックだったのか?と妙な驚き。この物価高をやり過ごすには経験豊富な主婦はできるんだからと色々面白い話をして頂いた。米国のインフレ対策のために円安に触れてはいるが、このご婦人のノウハウで乗り切れるかも知れない。

そんな中FBに面白い図を紹介した人がいた。欧州の8月末の電気料金(円に換算)である後述の資料によれば昨年同期比でドイツは213%、フランス451%ととんでもないことになっている。この図ではイギリスは記載ないが147%。水力発電の多いスエーデンは増加率が小さい。

ドイツはロシアからの天然ガス停止によるもの、フランスは原電の冷却を河川に頼っているが渇水問題で運転できない理由による。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこで、興味は電力以外のコモディティー商品はどうなっているのか?である。先物買取引をしない限りこのWEBにアクセスすることはない。

https://tradingeconomics.com/commodities

結論を言えば、この統計データからいろんなことがわかる。エビデンスに基づくのであって、誰かの受け売りでない自分の考えを持つことができる。古い考えを改めるにも良い資料だ。日、週、月、年別の増減率が表示されている。(数字は9月9日のデータ)

エネルギー別、金属別、農産物別、鉱工業別、酪農商品別、商品先物指数、そして電力各国別である。眺めているだけで30分は有益な暇つぶしはできる。

冒頭のご婦人の納豆(大豆)は対前年+16%だが小麦粉の+26%に比較すればまだ軽傷部類。納豆の豆を15%減量すればトントン? それよりつゆ辛子パッケージ抜きだろう。小麦はウクライナ侵攻を直に影響している。

コーヒー、オレンジも+25%だがこれは寒波・旱魃など異常気象による。変動が大きいものはバター+79% 、ポテト+52% コーン+39% とモロあの食品が影響を受けそうだ。鉱工業では意外にも瀝青(アスファルト)が+48%。最近の道路修復ではアスファルトは珍しくなっているのと一致か? 同じ表の石油化学原料のナフサがマイナスだけに、コンビナートからのアスファルト生産量も減少とリンクした。

一方で、昔は戦争になると弾薬製造のため銅、鉛が高騰したものだが、約20%ダウンしている。これは意外だった。今や電子戦で命中率が高いので「下手な戦車砲も数打ち当たる」時代では無くなったのか〜と。もしくは在庫処分なのか。リチウムは+256%と大きく値上がり。EV競争を背景に伸びているものと容易に想像できる。歯科でも問題のパラジウムは依然として高止まりだが、ロシアが産出国だけに厄介だ。パラジウムはクルマ排ガス触媒に多く消費されているので、歯科としてもそれに影響を受ける

金、銀の貴金属は戦争や経済危機になると高騰するが、いずれも直近ではマイナス。おかしいなぁと金の価格推移を田中金属のHPで見ると前年同期で+32%と平時の変動よりは高いもののこの32%はウクライナ侵攻に関してもシナリオが出来つつあるのかとも読める。また銀の落下率が−21%と大きい。これは何を意味するか、考えると面白いのではなかろうか。銀については写真がフィルム時代には富士フィルムだけで世界の1/3〜1/2を消費していたが、今は抗菌材料として利用されているので量は減少している。時代の変遷を見るようで面白い。気がつかないところで大幅に高騰しているのが肥料(尿素、ウレアアンモニア)で+78、+115%である。もっと気がつかないのは米の+31% 日本の米作りは儲かる環境にあるのかも。さすれば工業化もありうる。

経済についても門外漢の筆者。日本や某国は財政破綻しそうだとSNSやワイドショーについてコメンテーターが煽っても、ネットでCDS (Credit default swap)を見に行けば実態がわかる時代になった。200,400を超えると警戒領域と言われているが中韓も巷間で言われるほどの深刻なレベルにはない(6月までは)。だがロシアは世界の経済封鎖で10,000と桁外れ。これでは国体維持は厳しいだろう。貿易統計にも乗ってこないので物価は想像するしかないが連動はしているはず。冒頭のやりくり上手のご婦人は習志野市のプールでひとお泳ぎするとのこと、厳しい経済事情を泳ぎきる術をロシアに教えてあげては如何だろうか。

樹木剪定伐採・CO2循環

街では台風シーズンに備えて、樹木の剪定伐採風景が早い時は6月から開始され8月末まで、あちこちで行われている。中には頂点に僅かな葉を残して丸坊主のような伐採も、刈り込んだ枝葉が地面に山積みになっていると、炭酸ガスを吸収して酸素を出す役目をしている植物に対して思いやりがないなぁ〜と思う。葉の数が見た目で10万分の1にまで減少した場合の炭酸ガス吸収や葉の表面から蒸散する水の量、結果として根本から吸い上げる水の量はどうなのかな?とその場所を通るたびに思っていた。尤も倒壊して被害が出るのは避けねばならないのは当然であるが、素人目にも丸坊主・枝もほとんどない状態までする必要があるか? 業者都合の部分はないだろうか。

先日、東京都産業技術研究センターでの打ち合わせまでの時間調整のため併設図書館で雑誌をザッピング。そこに森林総研発行の「研究成果選集2022」の中に、疑問の半分を解消してくれた記事があった。研究成果を3つにまとめてあり、1)大気中の炭酸ガス濃度が上昇すると樹木からの蒸散量が減る 2)樹木が水を利用する効率は上がっている。3)蒸散量は樹木の成長とともに増える。 このうち1、2)には驚いた。言われてみると納得。

炭酸ガス濃度が高ければ炭酸同化作用の式に当てはめれば、製造量に合わせた炭酸ガスであれば良いこと、水も然りである。葉の表面の気孔の開口率を高くしないで、絞っていても十分だと。でも丸坊主に近い剪定というより伐採は樹木に過剰なダイエットを強いているようでいいのだろうか? 3)では樹齢の高い方が蒸散=地面の保水性も高いとなると人間も最近ではコレステロールが高い方が死亡率は低いとの前向きコホート研究もある様なので妙に納得してしまう。勘違いが甚だとのご指摘はあろう。本音は樹木医に聞いてみたい。

ところで、植物はどちらの炭酸ガスがお気に入りかご存じでしょうか? 子供の頃、周期律表のどこまで言えるか競ったことはありませんか? C 炭素は12番目。O 酸素は16番目に決まっている。だが炭素にも酸素にも同位体が存在している。炭素C13が存在しており、大気中にはC12のCO2が約98% 同位体C13のCO2が1%程度、その他は酸素の同位体を含むCO2。改めて聞くが植物はどちらが好物か? 答え:食物はC12のCO2が好みである。森林に吸収されなかったC13は大気中で濃度が高くなる。

この炭素の同位体の割合変化で地球環境がどのように変化しているかの研究は古くから行われており、南極観測隊の研究テーマの一つになっていた。古い2013当時のCO2の発生(化石燃料、都市生活等)対 吸収(緑化土地、海面)などの図がHPにあるので図示する。これによると同位体C13のCO2は大気で濃縮される形になること。発生と吸収の差し引きが増加分になることがわかり易い。この同位体C13の濃度を90年にわたって観測(その間、観測の精度研究の成果もあって)されてきた。多少複雑なので結果を示す。(引用・JST発表東北大)

 

現在では蓄積炭酸ガスが増加しているので吸収する森林面積を広げるのは当然として灌木などが放置され朽ちる場合、逆に炭酸ガスを発生することになるので、森林管理が極めて重要となる。当たり前のことを殊更いう必要はない。日本には広い海がある。海水による吸収を増加する方法はないだろうか。

火力発電や工場からの炭酸ガスをパイプで圧送する、貝の養殖による炭酸ガス固定はどうか。貝殻を粉砕しセメントに混合して新島誕生の面積拡大に利用する。それとも、潮流を利用した上下の撹拌? 海の実態を知らない妄想と片付けられそうだ。

 

話を森林に戻して、先日、海浜幕張で開催された環境を含む複合展示をみてきた。相変わらず太陽光発電が大きな場所を占めていたが、それに比肩しうる規模が日本木質バイオマスエネルギー協会のブース。木質ペレット発電などの説明がなされていた。だが、この光景どこかでみたぞ? デジャブ? 確か北川三重県知事当時だったか、和歌山に近い紀勢町で木質ペレット発電を開始したことを記憶している。その後、原料が集まらないことで廃止されたと記憶していた。今回も轍を踏むのか?との印象があったが、どっこいビジネスは甘くはない。多分だが、2024年からの国による森林環境税と関係があるのではないかと推察している。今でも地方自治体ではグリーン税が徴収されているが、2024のそれは人頭税のように課税されるとあって巨額になりそうだ。それだけに使徒についても注視していく必要がありそうだが議論百出の模様。それこそ木を見て森を見ずだけは勘弁してほしい。

EVから大転換の流れか

だから言ったじゃないの♪ とのメロディがエンジン製造会社周辺で流れているとは思わない。がしかし、EV一辺倒の欧州において、特にディーゼルゲート事件を引き起こしたVWの会長が9月で交代と報じられている。排除に近い社内事情があったようだが、新会長はポルシェ社長兼務とあってエンジン車回帰に軌道変更ありうると報じられている。

理由の一つはEVによる雇用の問題との情報もあり、トヨタがかねて主張していることと部分一致する。外部要因としては、天然ガス不足による電力供給力不足も根本にあるだろう。ドイツでは電気使用時間制限もあるとか、充電場所までの非常に長い列の光景。これでドライバーが怒らない方が不思議。停止している古いタイプの火力発電所を再稼働してCO2を排出しているのを目撃すると、何年か前に、これからはe-fuelで行ける!との記事を読んだ人であるなら尚更らだろう。ドライバーの立場ではエンジンレスポンス(含サウンド)がやはり欲しいと思うだろう。日本ではオートマが殆どだが小生の知るイタリア男は頑なにミッション車じゃないとクルマではないと主張しているようなことだから、EVを喜んで受け入れるとは思っていない。

このブログでも何度も取り上げてきたテーマであり、EV一辺倒はないと論じてきただけに、“だから言ったじゃないの〜♭”は開発した技術者に向かってはとても失礼で言えない。EVバッテリーが全固体電池で走行距離が伸びても、電気チャージには変わりがない。環境のための解決法には従来のエンジンを利用した1)e-fuel  2) 水素 最後はユーザーが決める。

まず、水素エンジン。トヨタは水素エンジンを開発で2回サーキッドを走行した。2回目は前回利用したヤリス搭載エンジンをカローラに乗り換えて走行している。1回目の水素チャージ回数、時間を大幅に改良したと発表。

水素はガソリンより燃焼速度が異常に速いことからインジェクタータイミング、水素タンクの流量コントロール、ガソリンと違って潤滑油成分がないのでシリンダ耐摩耗問題や、タンク重量など技術課題に取り組んでいる。なんと言っても実用化には水素インフラ整備が焦眉の課題であることは間違いない。180リッターの水素タンクへの水素充填速度は3分。ガソリン給油と同じだ。

一方のe-fuel本命の声が欧州であるも何故か抑えられてきた。既存のエンジンをそのまま利用できる。燃料を合成するだけの問題でありまさに化学の世界だ。ドイツは戦前には超巨大化学メーカーIG(イーゲー)が君臨し、戦後に解体したものの、BASF, Bayer, Hoechst(バスフ、バイエル、ヘキスト)それぞれは現在も巨大化学メーカーである。ドイツ=化学のイメージが強く、e-fuelもこれらの会社以外でも検討されてきた。

勿論、日本も化学3強の一つである。(ノーベル化学受賞者の多さでもわかる。)

この合成e-fuelの研究開発は日本でも行われている。基本技術はCO,CO2と水素から炭素数5〜12の直鎖につながった炭化水素化合物を合成する。簡単な図を資源エネ庁資料から抜粋する。

発電所など工場から排出されるCOと飽和炭化水素化合物の分解や水の電気分解由来の水素を反応させて合成するプロセスにおいて、ネックは水素の価格をどう見るか。現在レベルでは800円/l前後になるものと思われる。水の電気分解による水素はもとの電源を太陽光パネルに求めるようではバランスが取れないだろう、結局は水素を牛耳るところがe-fuelでも握ることになると思われる。e-fuelの排気ガスは従来通りであるのがカーボン循環とはいえ弱点になるかも注目される。

カーボン循環でサステイナブル面では満足なのに、何が弱点なのかの理由はお隣のオランダの動きが気になるからだ。オランダはサステイナブルからリジェネが理想だとして、農業(畜産)における窒素排出を削減すると言う。これには畜産関係者が食糧不足による生命を犠牲にすると猛反発。大豆など植物由来の人工肉の生産規模が畜産と同等になる見込みと、投資補助金など整備が不十分の中で畜産を制限すれば、お怒りごもっとも。

ドイツ前首相メルケルの超理想主義が破綻して、火力発電、原電稼働に戻って、その間プロセス改良を放置したことで、前より環境悪化した。どうも欧州は超理想を掲げ猪突猛進し諸国を振り回すところがある。そんな欧州には2700年前の孫子の兵法をお読みされることをお勧めする。

「智者の慮は必ず利害に雑う」 一番実践しているのはトヨタかも知れない。

 

賃金と待遇

最低賃金が10月から大幅にアップするとの報道がある。現在の全国加重平均時給930円が31円アップの961円になる模様。東京や神奈川は既に1040〜41円を突破しているので1071〜72円/時となる。大阪も1023円と1000円を超える。僅か31円だけではないか。もっと上げるべきだと言う人も居られよう。中小企業の経営者から見たら、このアップ率(3%)は想定外の厳しいレベル。最低賃金が給与ではないにしても、毎年4月になるとベースアップとボーナスに頭を悩ませるのが経営者。どうしても最低賃金アップ率を横目に決めざるを得ないからだ。政府は中小企業への打撃緩和策として助成金と抱き合わせを考えているものの、ベースアップに対しては利用できない。

今、中小企業が新技術開発、新規ビジネスを企画する際には、補助金・助成金の調査から始まる。補助金の中の人件費をどの程度賄えるかが非常に重要なのだ。それほど人件費の経営におけるウエイトは大きい。補助金の資料作成が面倒・厄介にして、成果確度が承認者に納得できるくらいに開発レベルが到達していないと補助金獲得は困難である。1回のチャレンジで合格するほど甘くはない。大学や有名研究機関と共同でも厳しいのが現実。

最低賃金の決定は前年の失業率を計算に入れて算出すると聞いた。(嘉悦大髙橋教授説明では5.5%-前年失業率)。ではコロナ禍に見舞われた3年の間の失業率はといえば、雇用調整金、休業補償、休業手当てなど手厚いコロナ対策により維持されたのが実態で、もしなかった場合の真水の失業率がどうだったかわからない。失業者増加、企業倒産の嵐だったと思われる。コロナ7波が越えれば2類から5類に移行する考えだとすると、手厚い補助は無くなるはずだ。最低賃金のアップの皺寄せが解雇の形に出るのが怖い。某国の事例があるだけに他所ごとではない。

そんな中、機械工作メーカーのDMG森精機が博士課程卒は年収3割増の682万円を発表した。Face bookでは、この記事に刺激を受け「日本は、総じて海外企業に比べて博士号取得者が軽視されている」と投稿。他の人も「その通り待遇改善が必要だ」・・・が続いた。所謂「エコーチェンバー現象」が発生した。

森精機が高額で優秀な人材の獲得は一つの成長戦術であるのは当然。だが何故そのような措置をしたのかが気になる。筆者は機械加工業には門外漢なので、わからないが。1)過去の蓄積技術(属人化している技術)の解析を通じての見える化(e-ラーニング)に繋げる数学的高度レベル 2)ものづくりとして指示通りの切削加工をするのではなく、例えばトポロジーを活用したデザインを提案できる数学レベル 3)素材の開発・改良につながるような基礎研究が可能で金属以外にも精通している 4)ある専門が好きで好きで寝食を忘れ没頭した結果として与えられたような人物 特に4)であれば大大大賛成だ。

FBに投稿した人によれば「博士は文献査読に始まり未踏の分野に挑戦するなど修士などとは比較にならない努力をしている。」などの理由が述べられていた。面白い理由だ。本当に未踏の分野を極めたのなら起業すれば自らの待遇を決定できるはずだ。日本の博士号取得して起業した実際の統計数字は見たことがないので、コメントはできないが、フィーリングを許されれば、皆無か極々少数だろう。企業では技術研究部門における最高峰としてフェロー制度を設けている場合に、どれだけの人がフェローを取得しているのか、その割合も博士の価値判断になるだろう。

そう、「経営から見ると結果が全て」なのだ。結果までの時間軸の取り方は違うだろうが。経営に貢献大でFAされては困るのであれば更に高額を出すだろう。ダメなら閑職にも甘んじなければならない。米国は博士が多い一方で、突然ダンボールを抱えてオフィスを出るのも普通の光景。クビにしないで次回登板や異業種を展開するには必要かもと思いつつ残す日本がよほど社員を厚遇していると思うがどうだろう。

活かされていないとしたらスキルを発揮する場面に呼ばれない要素があると考えられる。努力しているのは誰でも同じで、技工士もプロ。プロフェッショナルな人は努力+アルファがあるから成功している。社会ではアルファが非常に重要なのだ。ホンダを世界の巨大自動車メーカーに育てた本田宗一郎は類まれな現場力・人間力で「あの人には尽くしたい」と周囲を思わせた。好きで好きで寝食を忘れて集中没頭する、その結果として新しい1ページを拓いたとするとそれが授与するのが大学でなくとも“博士以上”の称号が相応しい。

プロ野球然り、サードといえば長島。男らしさと華麗なフィールディング、ここぞと言うときにホームランと華やかでファンを唸らせた。ショート広岡の前で捌いてしまう。普通は遠慮するモノだが天衣無縫なナガシマだからと納得させてしまった。最近では日ハムとオリックス戦で杉本が2連続死球をくらった場面で、乱闘まではならないまでも、両軍の選手は恒例のごとくマウンドに集合した。その時ベンチからゆっくり杉本に近づく男がいた。Big Bossである。杉本に一言二言謝ったのだ。杉本は気分を取り直して1塁へ。ベンチに帰る途中で次バッターの宗にも一言。これに宗は笑顔で応え、それを見たスタンドは喝采。エンターテイメントの粋を見せたBig Bossだった。このようなことが、北海道北広島の新球場へ観客を呼び込む一つのスキルだとすれば金を出す価値はある。

長島が活躍した頃に全盛期を誇ったのが西鉄ライオンズ。セカンドを守ったのが仰木彬。のちの近鉄、オリックス、ブルーウエーブの監督。データー野球の先駆けとして冷酷な場面もあれば選手の長所を伸ばす名伯楽であった。野茂、イチロー、長谷川、吉井、田口など多くのMLB選手を輩出した指導・経営力。その一方で当時のニュースステーション放映中に小宮悦子さんを口説く艶っぽさもあり幅広い人間力など魅力があった。何より神戸淡路大震災の時「がんばろう神戸」を掲げて地元を団結させ優勝へ導いたことは後年になっても語り継がれている。

待遇云々は言わずともついて来る。ましてシニアになって退職・退官しても人は集まる。それが何よりの待遇だと思うが、如何だろうか。

 

夏休み自由研究の大人版

小学生の夏休みの自由研究を大人がやるとこうなる見本のような記事があったので紹介する。小学生レベルとは大の研究者を捕まえて何を言うか!と叱られそうだが、本人にしてみれば、半分当たっていると笑うだろう。 タネ証をすれば食塩水の電気分解の応用。 陰極からは水素ガスが、陽極からは塩素ガスが生成する。マイナス電極にNa+ナトリウムイオンが陽極にはCl 塩素イオンが引き寄せられる。 誰でも聞けば思い出す。学校で教えてもらって、自宅で電池、配線、アルミ箔を用意して実際水素が泡になって発生するミニ実験をした人もおられよう。

Naイオンは陰極の周りに引きつけられる。これを応用したのがキリン。明治大学と組んで、減塩食を美味しくする「箸」を開発した。微弱な電流を流すデバイス(箸)を用いてナトリウムイオンの箸の先端に高濃度ゾーン:一種のクラスターを生成し、次に放出させることで舌の味蕾に強い塩味を感じさせる仕組み。発表資料によれば塩味は1.5倍になることで、減煙食が無理せずに摂取されるとのこと。 今は箸デバイスの先端には電気波形発生装置がついているので、直ぐに利用できる訳には行かないが、いずれは家庭にレストランには小型電気波形モジュールがテーブルに内蔵され、マイ箸を持参しての会食、食事をする風景が予想される。病院の採用が早くなることも容易に想像できる。無線で飛ばすこともできる(そこは日本人は得意)。文献:日経クロステック2022.07.12

 

 

 

 

 

さて、この文献から、学ぶべきことは減塩に苦しむ人がいることにキリンが着目したことである。では自分なら何をするか。そこを考えるのが実に愉しいのだ。このブログを書きつつ思いついたことが1件。 実験で確かめた上で実用化に耐えうるのかマーケティングで確かめる長い開発工程が頭に浮かんでくる。 本来は退職したシニアの方々の格好のテーマだと思う。我こそと名乗りを上げるのをお待ちしています。あくまでも“思いつき”ですので、話し半分か1/10か考えて下さい。(笑)

小学生の頃は模型飛行機ばかり作っていた。やがて超小型エンジン(OSエンジン)をつけたラジコン前世時代を過ごした。現在、ドローンが流行している。ペイロード(運ぶ荷物の重量)はバッテリーや発電機の重量とトレードオフになっており、これに滞空時間が強く絡んでくる。

で、ある時、子供の頃を思い出して、小型エンジンはダメですか?と提案したことがあったが取り上げられなかった。そうかなぁ〜と未練たっぷりの中で、なんと川崎重工がバイクNinjaエンジン搭載の小型ヘリコプター(ペイロード200kg 高度3,100m 航空距離100km)の発表があった。きっと川重の社員にも子供の頃、ラジコン模型飛行機を追いかけたメンバーがいると推定した。山岳への物資輸送を目的としてドローンの各種規制外の扱いではあるが、省令で変更は可能なのでドローンから見れば強敵になるだろう。 垂直離陸方式となれば、ホバリングができる。そうするとドローンは何で勝負をかけるか。そこに戻って考える必要はありそうだ

平和利用を前提として、案外 子供の頃の発想・行動の中にヒントがあるかも知れないとすると、毎日をどう過ごすか。面白くて、重い課題。

 

マイナポイント

このブログをお読みいただいている人から見たら、既に実行済みで、何を今頃?と呆れた方もおられよう。筆者はマイナンバーカードを所有しているがポイント移行作業はしないままなので反省を込めて本文を書き起こした。

最近、ショッピングモールなどでマイナンバーカード作成コーナーが目立つ。浸透率は低いのだろうか。ただし、仮デスクの数及び役所の人の数は多いが、足を止める人、デスクの前で手続きをしている人は見ている間では皆無。

住民基本台帳で個人番号がついたのは知っているが、使う頻度もなく確定申告にコピーを添付するだけの役目になっていた。ナンバーカードになっても同じだろうとの気分は拭いきれない。その前にも消えた年金問題もありデータ取り扱いの杜撰さに慎重にならざるを得ないのもあるだろうか。個人情報云々と否定的な声に影響を受けている人ゼロではない。

そこは新しい物好きの筆者としては、マイナンバーカードが登場すると即作成した。しかし利用することはなかった。市民窓口で確か住民票をとる時にマイナンバーカードより従来の方が早く出ると言われたことがある。行政府窓口さえこの状態。落としたら大変なカード持ち歩く気分はなかった。確定申告にはカードリーダーを使ったが、送信または受信不良で読み取り不具合。結局、番号記入で対応した。つまりは半手動半自動で送信。

カード導入を促進すべくマイナーポイントをセット。第一段階では作成すると5000ポイント分がSuicaではさらに1000ポイントが追加される。そこでPCでトライした。だが途中で諦めた。非常に分かり難い。JREのパンフを見ても解決できず放置したままであった。パソコンができない人は区役所で代行してもらえるとあるが、小さなプライドが邪魔をした。

それが、今回は第一段階で対応しなかった分を含めて保険証、銀行口座との紐付けで20,000ポイントが付くとあって(どうせ同じだろうと思いつつ、捨て置くには勿体無いので)PC作業を進めると、あっけない程の作業で登録完了。余程のパソコン・スマホ音痴でも対応できる様にソフトが前回と今回の間で改良されている。これは良い仕事をされたと感心した。対応していない家族に早速勧めることにした。Suicaにポイントが直接チャージされるのではなく、JREのアカウントにアクセスしマイページからチャージ手続きをする。あ〜ぁなんとも面倒臭いシステム。ショートカットすると困ることがあるのだろうと邪推した。保険証が利用できる医療機関は現在30%程度ではあるが、診療状況が他の医療機関に移動しても共有できるなどメリットはある。

と感心をしていた丁度そのタイミングで税金に関するレターが届いた。引き落としの筈で何かの間違いかな?と思いつつ区役所へ。理由は判明したが1回限りの調整特別税で引き落とし対象ではないとのこと。珍しいと区役所担当者の談だが、レターにその理由を記載すべきだ。これからは苦情もPDCAに折り込むことが可能AIが対応するとしたら人よりデジタルの方が信頼性高いのかもと思わせる一件だった。

一方でgBizID (各種行政府の連絡・申告書類のやりとりに使用するID)の開設はPCからダウンロードした資料に記入し、かつ印鑑登録証を同封して郵送するシステムとなっている。現段階のセキュリティの面から致し方ないところがあるが、依然として手作業が残りそうと見た。 電子契約書などデジタル化が進み印鑑不要となるはずだが、街の印鑑屋さんは健在で閉店した様子は見ない。電子署名の証人作業など面倒で、かつ量子コンピュータの能力からすると現在の暗号は解読容易とも聞くと、本格導入は先送りになっているのだろう。

新入社員の頃、研究開発業務に携わっていた。上司から言われたのは、既存技術、現行商品を置き換えるには最低3つの要素が必要だとのこと。1)従来にない機能 2)利便性 3)価格も品質と認識することであった。 技術者・研究者は1)を特に集中しがちで失敗パターンに終わることが多い。

マイナーポイントをこの3要素でチェックすると。1)はクリヤー 2)は今後の動き次第 3)価格は行政府の合理化には寄与するも、利用者にとっては不明。が正直なところだろう。行政府は2)に力を入れることで、マイナーポイントがなくてもマイナーカードを所有希望するようなシステムが好ましい。

 

前九年の役・後千年の役

このブログは政治に関わることは取り上げない。ただ世の中は人から成り立っていることから、人に注目することはあって当然だと思う。あの時から約1ヶ月が経過した。和光市に向かう車中で何気なく開いたスマホに唯ならぬことが。しばし絶句した。昼食を摂らずにお客さまのところへ行きTVを凝視。なんとか一命は取り留めて欲しいと希望しつつ、発生した場所が奈良西大路と聞くに及んで、我が脳は前九年の役にBack to Futureした。あまりの衝撃と咄嗟のことで記憶神経回路が間違って違う回路に短絡したのである。

前九年の役・後三年の役は教科書では簡単に触れるだけで、多くはNHK大河ドラマの“炎立つ”藤原三代の物語の冒頭での印象が強い。以下3行は仙台出身で歴史に詳しい同僚のチェックを受けて記載した。

奥州陸奥国を治めていた安倍大俘囚に対して、朝廷は陸奥守として源頼義を派遣し安倍氏(頼時、貞任親子)と戦を始めた。源頼義の弟頼清の郎従であった藤原清経は頼清が陸奥守として赴任した折に陸奥の国に下向し、安倍頼時の娘を妻に迎えていた。都から陸奥・出羽に対して金など税の圧政に堪忍袋が切れた安倍貞任が多賀城を攻撃。軍事派遣されていた源頼義は劣勢になったが出羽清原武則に援軍を要請し、清原氏は渋々参軍。経清は国か陸奥(安倍)か悩んだ末、最後は安倍と合流し戦ったが惨敗。今では放送できないシーンだが経清が川辺で斬首されるところは強く印象にある。その後、頼時の娘は息子(清経の子)を連れて清原武則と再婚することになるが、その息子こそが、のちの藤原清衡である。かくして安倍一族は滅び、九州松浦(説)や青森へ落ちていった。20年後に後三年の役となり最終的には安倍の血を受け継ぐ清衡が藤原姓を名乗り栄華を極めたのはご承知の通り。

長い、実に長い前置きになってしまった。平安時代後期の時の流れに乗ってしまった。

平安時代の大陸の玄関は若狭の国の気比(敦賀)か小浜であり、小浜には滅亡前から陸奥安倍氏から支援を受けていた芳賀寺がある。行基の開設と言われ重要文化財の仏像がおわす。火災により消失したが安倍康李が再建したと小浜の観光紙に記載がある。東北地区との交易は関係が深いのだ。

記憶では何年前に今回亡くなられた安倍氏が訪れたことをニュースが報じていた。

ここ、小浜市は京都への通じる鯖街道で若狭の海産物を物流する拠点であり、京の街に入るには大原の里での京野菜と合流して海、農産物を届けていることはよく知られている。寧ろ今後は(10〜20年後開通の北陸新幹線の駅として脚光を浴びているかもしれないが。

冒頭の記憶神経回路の混線に戻していえば、小浜は「お水送り」の拠点である。もうお分かりだろう、「お水取り」は奈良・東大寺二月堂。正確に言えば、お水送りは神宮寺で芳賀寺ではない、また東大寺と西大路は奈良県にあるとはいえ違う。だが、なんとなく安倍一族の栄華と無念にリンクしてしまった。筆者は小浜には小学校の頃に海浜学校に行った程度ではあるが、市民であれば何人かは「あっ!」と思っただろう。

そう、あれから1000年の経過した今、陸奥の人は「後千年の役」と言うであろう。

菌のスポンジ培養&蚊が好きな色

サイエンス雑誌はエビデンスがあり有識者による査読があるので安心して読むことがわかる。(当時のレベル範囲内であることに留意しての前提ではあるが)。 雑誌記者の腕の見せ処の一つにタイトルで人を惹きつけることにあるとすると、今月の日経サイエンスには2つの記事に編集者の意図が生きた。何故か。科学に縁遠い人であっても、生活に密着した記事だったからである。(日経サイエンス8月号)

1つ目のタイトルは「細菌の培養は台所スポンジで」。微生物学で菌の培養といえばシャーレに寒天など菌の栄養となるものをセットし、そこに菌を置き恒温チャンバーにて2〜3日培養して、菌数の測定、顕微鏡による形態観察をする。そんな風景がTVで放映されているのはお馴染みだ。

タイトルにある台所スポンジが培地!?? 食器洗いはケミカル出身だけに得意の一つであるが、使用後は水切り、自然乾燥。スポンジの交換は1回/月程度。この文献通りだとすれば、食器から食器へと菌があれば移動させていたことになる。あ〜ぁ怖い。食器洗浄機での加熱処理が好ましいことがわかる。スポンジも見直さないといけない。

 

微生物学者の悩みは実験室では増殖しない細菌種をいかに培養するかであり、細菌の好みに合う棲家としてスポンジの多孔質が適していることを発見したとのこと。発泡体の製造には物理発泡と化学発泡があるが、いずれも孔のサイズは均一に見えても細菌から見れば多種多様サイズの部屋が用意されており選択の自由度が高いのか。孔の分布、孔が連通しているものなどある。弾性があり微細孔のウレタン発泡体は洗剤で落ちないところを擦ることで綺麗になる重宝しているが、使用後も再度使えるとあって、汚くなっても何故か保管している。皆さんのご家庭では毎回新品をお使いだと思うが、表面から半分程度を切り取り即捨てることにした。そういえば、最近は目が極めて粗い発泡体が出始めた。何か関連するのだろうか。

 

最近、知人が細菌撲滅研究に凝っている。分析を専門機関に依頼すると回答まで時間がかかり、高額であり、実験点数に支障をきたしていると相談を受けた。スポンジでの培養はできてもその後の処理が門外漢には無理。そこで思い出したのは熊本大学が微生物検査シートによる空中浮遊菌の検出した文献(Earozoru Kenkyu vol.30 2015)

当時はJNCのサニ太くんを使用していたが、今は食品用のMC-Media Padとして商品化されている。一般菌、大腸菌、黄色ブドウ球菌、真菌(カビ)、サルモネラなどの専用シートがある。

詳しくは同社HPを参照願いたい。100枚シート入り1万円前後と安いのも助かる。同社の宣伝ではないが、筆者は過去において、ケミカル他社の研究・技術者を横串で連結することをしていたことがあり、当時の仲間の業績なので取り上げた次第。

ところで、電車ではよく「抗菌」の文字を目にする。除菌、殺菌、減菌、消毒、無菌って区別していますか? 抗菌:菌が今以上に増殖しないようにすること。除菌:石鹸などで洗い流すことで菌数を減少する 殺菌:微生物を死滅させることであり量的な条件がない。消毒:人畜に有害な微生物(対象微生物)だけを殺滅する(生存微生物の数を減らすこと)、減菌:すべての微生物を殺滅、除去する行為でSAL10-6 の規格がある。無菌:生育可能な微生物が存在しない状態。医療関係者はこの区別を遵守している。注射器、手術器具などはγ線照射かEO(酸化エチレン)処理をして減菌、無菌状態にしています。筆者はγ線照射によるプラスチックの製品寿命と殺菌の両方を満足する材料を開発していました。注射器、輸液ボトル及びコントローラ、血液透析機器(ダイヤライザ)など。自分ではお世話にならないように願いつつ、毎日大量に生産され出荷する様子は強く記憶にある。

さて、2つ目の記事。タイトルは「人肌の色を求めて」。なんだ「色」がなければ艶っぽいのだが、サイエンスは事実を伝えるのが基本。

蚊は30m離れたところからでも人間の吐くCO2を感じたら、目の色が変わり(筆者の誇張表現で、ご容赦)、赤いものに特に反応し飛翔するとのこと。人肌も蚊には赤く見える。

一方で緑や青には反応しないとのこと。白も蚊の好みではないとのこと。

我が家の網戸は窓枠内収納タイプなので専門業者に修理を依頼した。皮肉なことに今年は蚊が少ないようだ。何故だろうか? こんなところにも隠れた要因があり研究のネタがあるのかも知れない。