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メール文とリテラシー

このブログも287号。内容も文体も反省するところがある。雑誌プレジデント4月号に「頭のいい文章、バカな文章」の特集があり、いつも無知を恥と顧みずアップしている筆者は是非目を通さねばならぬとして手に取った。

読まれた方は直ぐに分かったであろう。この3行はバカな文章の烙印が押されるはずだ。第一に主語と述語の間が長い。「反省」と「顧みず」はこの文章では同じ意味であり重複している。本当に都度反省しているのなら進歩しろよとツッコミを入るところだ。

では、頭のいい文章とは何か。この雑誌から引用する。(下線部引用)。多摩大名誉教授樋口裕一氏によると 1)頭のいい人は想像力がある。 2)賢い人は次の3タイプを知っている。①結論先―理由 ②理由―結論 ③結論提示―確かにorしかしー強い根拠―結論

欧米企業とのやり取りは①が必須。会社でもトップとは①。 頭のいい人は想像力があるというならば③となる。説得力は強い根拠エビデンスに関係する。数字、グラフ、画像がアシストする。

今までの日本人は②が一般的だった。「だった」と過去形になりつつあるのはスマホの影響で、絵文字か、「了解」を「り」だけの返信で事足りることが日常になったからであろう。そんな中、やたら長い文章のメールを送付されると、承認欲求だろうなぁと感じつつ端折りながら読む。

樋口名誉教授の結論は何歳でもグズでも文章は上達する。よし信じよう!

朝日新聞編集委員 近藤康太郎氏は禁じ手として以下を紹介している。

*凡庸すぎる *固有名詞や数詞を入れる(読み手が負荷)*「など」「いろんな」「さまざま」を使う。*常套句を使う(自分の頭を使っていない)*「としたもんだ」定型文 *「擬音語・擬態語」 *流行語を使う(自分の頭を使っていない)

折角だが、ファクトである固有名詞や数詞がなくて理解されるとは到底思わない。根拠レス理屈を言う時にあるかも知れないが。擬音語・擬態語は文章をイキイキすることもあるので禁じ手とするには疑問だ。むしろ従来にないオノマトペを作るとクリエイティブな人と見られるだろう。早速、朝日新聞記事を読んだ。残念ながら先輩の禁じ手を犯している文章を見つけるに時間は必要なかった(←定型文章)

文章術のベストセラー100冊などの著者である文道の藤吉豊氏もこの雑誌に寄稿。

おバカ1)文章が長い。おバカ2)何を言いたいのか不明 おバカ3)読む気にならない。おバカ4)言葉が難しすぎる おバカ5)ありきたりでつまらない。おバカ6)因果関係がわからない。おバカ7)文章が間違いだらけ

主張の内容はわかる。だがその前に、バカ・バカ・バカと連呼されて良い気持ちになるだろうか。インパクトはあるかもしれないが、違う表現があるだろう。バカな文章でも愛嬌の味付けがある方が好ましいと筆者は思う。

それでは最後に、自分の経験で言えば

1 時間が厳しい会社上層部へのメールは3行に収める。頭を整理する手段として。

2 詳細は添付資料とする。本文において興味があればと誘導する

3 メールの文章云々よりも、受信したら即刻返信すること。まず「メール見た」「いつ返信する」だけで十分。

4 謙譲語や尊敬語を多用すると誤解されやすい。

5 メールと並行して電話で確認が好ましい。

この中で会社や人のレベルを評価されるのが3である。いつまで経っても返信がこない。無視しているのか、検討する時間が欲しいのかわからない。少なくとも「メール見ました」だけでも時をおかずに返信するだけで十分信頼にたる相手と評価される。返信するに検討を要する場合もあるが、社内での権原委譲がなされていない、多くの承認パスが必要とする会社だと取引が厄介だと判断されるので注意が必要だ。

偉そうに言えば、筆者の経験によれば、そのような会社は伸びない。概ね大企業及びOBは徹底しているが、企業サイズによらないのは勿論である。グローバル化に伴い日本が土日でも海外では平日のこともあり、その逆もある。そんな時は自動返信がある。私事だが返事が遅い会社・人は50%。返信するからには答えを充実させてから出すつもり・・の会社・人もおられるが、その間、発信者は悶々とし最悪は機会損失することもある。送信者の心理を考えないは言い過ぎで、昔の時間の流れで事足りていたとして修正しないで継続しているのであろう。メールは便利の反面、会社・人の通信簿にもなる。自覚しなくては。

相鉄・東急・新横浜線 にわか鉄ちゃんの感じたもの

3月18日開業の日に新線にたまたま乗車した「にわか鉄ちゃん」の感想です。

横浜一地方の出来事なので全国区の話題ではないことをご容赦下さい。それより大阪駅の新ターミナル(うめきた新駅)で東・西への延伸で便利になったことや、北陸新幹線敦賀延伸およびその先の話題が多いことは知っている。

今回の話題の中心は相鉄の東延伸・東京アクセスにあるべきだが、JRや東急のしたたかな戦略に話題を持って行かれた感がある。歴史的には東急創始者の五島慶太が東急、相鉄、小田急の社長を兼任していた時もあったので、今回の東急のやり方はそのDNAを引き継いでいると思えた。その五島慶太が阪急創始者の小林一三と気脈を通じていて、今回もなぜか阪急が協議会に参加していることを見ると、関西地区でも同様な動きがあるのかも。余計なことを言えば阪急京都線は京阪電鉄だった。京阪は阪急京都線や阪急千里線をどう見ているのだろうか。一瞬の経営判断がその後を大きく転換する。そんな思いもあり新線に乗車した。次は羽田直結におけるJRと東急・京急の動きに目が離せない。

まず、横浜の鉄道網を示すと。大雑把に言えば内陸・横方向に小田急線、東急田園都市線、海岸沿いには東海道本線、京浜東北線(根岸線)、京急線が、中央に新幹線がある。これらの横串をつなぐ役目としてJR横浜線、相鉄線および地下鉄がある。東急東横線は元町・中華街・みなとみらいから横浜を拠点に渋谷までのS字カーブの東横線が存在。

新幹線を利用するには地下鉄かJR横浜線が定着していた。横浜西部地区の人は横浜経由しか方法がなかった。今回相鉄が相鉄新横浜線を開設したことで便利になったはず。新横浜から渋谷までは東急新横浜線に乗り入れて利用することができる。従来の東横線で横浜〜新横浜には直接アクセスできず、日吉まで行って戻る形になる。料金が渋谷まで行くより高いのでほぼ皆無だろう。

 

(マップ説明:相鉄の西谷から新横浜に相鉄新横浜線を作り、東急目黒線に乗り入れ澁谷へ、東急は相鉄のいずみ野から相鉄経由して新横浜へ、東急新横浜線を作り東横線の日吉を経由して渋谷に向かう。いずれも新横浜を利用するには便利な新路線となった)

 

 

にわか鉄ちゃんの見方

*相鉄が将来の人口減を見越して東京へのアクセスに舵を切った。そのため2019年にJRと羽沢横浜国大駅を作り埼京線乗り入れを図った。だが新横浜駅を経由しなかった。JRとしては高層マンション林立で武蔵小杉の乗客を捌ききれないとみての対策であろう。JR東海に利便を計るよりは、埼京線接続を優先したと考えるのが自然。

*新横浜を横浜駅、みなとみらい地区に次ぐ第3の都心としたい横浜市と新宿・渋谷から新横利用を増やすことを期待する東急との思惑で東急・新横浜路線ができたのだろう。

実際、新幹線利用は品川までは都区内なので料金は0。京都まで新幹線で行く場合14,170円。一方、東横・東急新横浜線の358円を入れてもトータル13,858円。300円お得?と思いきや、それだけではない。新横浜発6;00発のひかりは前を走行する列車がいないこともあり、のぞみ並に走る。休日クラブ利用であれば3割引。朝が早いシニア層にとっては大歓迎なのだ。

*東急がいずみの線乗り入れしたのか、そこにも興味がある。現在の終点である湘南台から平塚(寒川)よりに慶應湘南藤沢キャンパスがある。東横線が三田のほかに日吉に慶應を開設し1、2年生教育と工学部を設け街と東急は発展した。この経験からいずれはこのキャンパスまで延伸するのではないか。

などを考えながら乗車していると新横浜到着。料金は通常ルートより50円高。

相鉄が東京アクセスを結果として2つ持つことになったが、東急はその間に別の戦略を織り込んできたと見る。相鉄の王道である横浜駅への乗客40万人を大事にしすぎて判断が遅くなったのか。だが濃紺外観、内装はセンスがあり相鉄の車両は好きだ。小豆色カラーの阪急と同じく品がある。ちょっと応援してみたい気分だ。

 

 

 

野球観戦ボリュメトリックビデオ

巨人ファンにとって憂鬱な時期が続きそうだ。選手層が高齢化しつつあり配置転換も噂される中、新人が頑張っている。どこかでエネルギー切れがないのか心配になる。

と書くとブーイングの嵐になりそうだが、その一方で東京ドームでの放映には最新技術が織り込まれているのには驚く。技術開発のエネルギーはどこまでも続くのはありがたい。今までも臨場感を出すためにアンパイアにカメラを付け、投球動作を撮影していたが、今話題の最新技術とは「ボリュメトリックビデオ」である。

「ボリュメトリック」の言葉から想像するにボリューム(体積)を撮影するビデオだろうと予想はできる。馴染みのピクセルが2次元(平面)であるのに対して小さな立方体単位からなるボクセルの時間軸連続(3Dスキャニング)記録とでも言い換えができるか。

実際にドームでは98台ものカメラをフィールドに設置して撮影。98台からの情報を即座に合成して立体的に見えるようにしている。東京ドームには時々行くが、本当のところホームランを打っても、打球音と歓声でなんとなくホームランと分かっても、打球の軌道がわからず着地での人の動きでやっとわかるのが実態。大型ディスプレーで再現シーンは出るが、新技術ではボールそのものにも焦点が当たって軌道を遍く追随している。実際にドームで観戦するよりわかりやすい。図は日経クロステックより引用(https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00001/07936/

キャノンが開発し、撮影・処理も担当しているとのことだが、3Dデーターを切り取れば3Dプリンターとして立体像が成形できる。記念のシーンについて3Dプリンターとしたいと希望する人はいるだろう。データー販売もビジネスとしてありうるのではないだろうか。観客が映り込むとまずいのでデーター販売も限定的になるだろう。欲しいのは”サッカー三苫選手の3mm” “大谷vs.トラウト対決“

スポーツ選手の体の動きを立体的に解析してオリンピックに備えるなどは筑波大学などで行われてきた。その場合は複数のカメラがある実験室での動きをキャプチャーしていた。しかし本場で再現するのは至難の技ではなかろうか、多分違うところを見破るには凄腕のコーチしかいない。野球で言えばプロの選手はそれなりに実績があり、こだわりがあるので素直に聞かない。ダウンスウィング、アッパー、ドアスイング、神主打法etc. 究極は長嶋さんの「スーッと入ってきた球をカーンと打てばいいんだ」、もっと古くは川上哲治の「止まって見える球を打つ」の極意は言葉で表現できない。とするならば、その時の身体の軸、筋肉の動き、目の動き、バットの軌道、投球動作のタイミングとの時間差において、どのように動きがあるのかを3次元時間スキャンで解析ができるなら、AIコーチの方がよほど頼りになるだろう。

投手の癖も全部丸裸になるのは困るか(笑)。少なくとも妙な審判は不要の時代になる。判定に疑問のリクエストもない。審判侮辱で退場シーンもない。故意死球の時は試合総括責任者が判断して、ウグイス嬢が放送して終わり。乱闘は試合没収とルールも変更。MLBのような投球動作、打者の時間制限を設けるより、はるかに良いと思うが皆さんのご意見はどうだろうか。今までグラウンドにいたはずの審判がいないのは面食らうだろうが、そのうちスコアボードだけで十分なことになりそう。

データー野球の大先輩である三原脩監督、野村克也。WBCで三原マジック(統計データ)を駆使した栗山英樹の成功はデーターに重きを置きつつ心理面での解析応用に優れたからだと思う。今後、このボリュメトリックビデオ技術が織り込まれていくと、どのような采配になるか興味深い。

巨人ファンの皆様。東京ドームで試合を重ねるたびに巨人はAIコーチの指導を受けられます。そのおかげもあり、浮上するでしょう。きっと。どこまでかは“知らんけど”と関西某球団ファンが言いそうだが。

なんば歩き初心者

卒業・入学式が終わったが、女性の着物姿を見るとやはり日本はいいなぁと思う。ただ足元は着物に調和した履物ではなく、持ち物の履物の中でなるべく合わせるべく選んだとしても違和感がある。もう一つ気になるのは歩き方。

普通の歩行スタイルは西洋式。手と足が交互に動く。和服であれば小幅な内向き歩きか、なんば歩きをしないと前が崩れやすい。西洋式は左右の手と足が交差することで身体を捻りながら歩くのに対して、なんば歩きは手と足の方向が結果として一致しているか、または手を動かさない。極端には能・狂言における両手を腰前にあて腰を落としつつ、(スキーのストックを持って、やや前屈み重心で)移動をする様と言えば分かるだろうか。

若い人はそれを教わっていないので無理もないが、中高年のおばさま族も西洋式でお歩きになっているのを見ると、「いや帯がなんとか、染めは京都の誰々・・の物で高かったのよ」と口では言っても、お里帰り知れるので注意が必要だ。その京都では観光客が舞妓さんライクの着付けをして闊歩している様を見ると、チグハグ感は拭えない。その時になんば歩きをしていれば、都人も認めるであろうが。それが着物を生かした“はんなり”となるがどうだろう。ちなみに“はんなり”を多くの人は誤解をしているので、参考までに翻訳すると“上品で華がある”である。

と偉そうなことを言いつつ、自分は昨年トータル*****万歩歩いただの、距離では*****km歩いただの、バカ丸出しの結果を吹聴して憚らなかった。いやはや。結果はどうなったか。恥ずかしながら言えば、確かにふくよかなお腹周りは引き締まったが、膝の柔軟性が劣り、足先が痛むことの副作用を味わうに至った。知り合いに2万歩/日を実践した強者がいたが医者から強く止めるよう指導があったとこぼしていたことを思い出し、当方も歩数については(このブログでも文献情報をお伝えしていることもあり)8000以上 1万歩未満とすることにした。

さて、とはいえ傷ついた膝と足先対策をどうしたものか・・が冒頭のなんば歩きを当面実践してみることにしたのが理由である。

侍は脇差を腰に刺しているだけに手を現代のような振り方はできない。下手にしようものなら隣の人に当たり傷害事件にもなりかねない。庶民も腰回りに身の回り品物とくくりつけるか、天秤棒で物売りでは今式の歩行スタイルでは商品が捩れて歩行どころではない。など事情はあっただろうが要するに身体は捻らずに上下運動だけ、前進には身体をやや傾けてその重心移動のベクトルで体がついていく方法らしい。確かに腕を大きく振りつつ捻りでは運動エネルギー(二次モーメント)ロスは大きい。

なんば歩き1ヶ月。正直なところ慣れない。意識している間はなんとか形にはなっても、ここぞという時には元の西洋式がつい出る。本来は咄嗟の難場の時に“なんば”でかわすはずだが、ニワカなんばでは習得はムヅカシイ。だが、少なくとも分かったことは坂道・階段昇降ではなんば歩行が楽。これは言える。

ものの本によると、元々日本人はなんば歩きが基本だったのが明治になって庶民も西洋式の軍隊のように訓練する中でなんば歩きをしなくなったとある。ある日 you tubeで自衛隊、防衛大学などの総合パレード風景を見た。揃って行進する中で一人だけ先頭で捧げつつのリーダーの歩き方が違うことに気がついた。普通は膝を伸ばして踵から着地するのに対して、その人は膝を伸ばさず、後ろ足を前にスウイングして置きにいくスタイル。捧げつつの剣を持っているので手は振らず腰の位置。“準なんば歩き”とみた。リーダを務めるのだから勉学・実学において優秀なのだろう。筆者はある企業の新人教育の一環として、朝霞自衛隊に体験入隊をさせられた。40kgの土嚢をかついで100m競争だの、歩行整列訓練だけだったのだが、毎日これを平然とやってのける自衛隊の人の体力は凄いと感心したものだった。それを思い出し、このリーダーの歩き方は合理的な体力の使い方ではなかろうかと、長い時間をおいてフラッシュバックしてきた。

と書いてきたが、文章がチグハグで軸がないことに気がついた。肺活量が大きいと一呼吸で一気に書くことができるが、肺活量が小さいと、小刻みな息継ぎの度に文章が揺らぐ。書く前に肺活量を大きくすべきであるとの奥方のアドバイス。その命令を免罪符として今日も街をぶらぶら。にわかなんば歩きで。

コオロギの前に「おから」でしょ

少人数の勉強会のあとの会食はコロナの時は弁当だったが、昨日は久々の居酒屋。それだけに話題が盛り上がり。やはり潤滑油はアルコールだけでなく、コロナから解放された気分も後押しとなった。当方の小さいテーブルでは元大企業副社長、トップ大学名誉教授、国立大学名誉教授に幹事と小生の5名。話題は「このままでは日本はダメになる説を唱える1名の名誉教授」それに対して元大企業副社長は「その見方は間違いで、具体的には・・・」と譲らない。もう一人の名誉教授は「専門外領域にはタッチしない」。それぞれである。当方は元副社長と同意見ではあるが、その事はどうでも良い。専門外領域は情弱になりがちだが、表面的で深掘りしない情報で自分は正しいと信じてしまうと、論点は相手にどのように勝つかに移ってしまう。この姿勢はなまじプライドがあるだけ厄介。

前置きがいつものように長い。何を言いたいのか。それは偶然にも図書館で1冊の雑誌を手にしたからである。その領域には当方は全くの素人。情弱の極みではあるが、赴任地で一部を経験したこともあり納得するところはある。雑誌のタイトルは「アレルギー疾患と環境」アレルギー72(2)144-150.2023 国立成育医療研究センター大矢幸弘氏の総説。

おりしも花粉症の時期だけに興味があったことと、大気汚染と喘息の昭和45年当時の公害問題から書き起こしており、当時を知らない人にも全容が理解できる文献であるのがその理由。

筆者はこの領域には情弱であることを許して頂いて、この文献ではエコチル調査(赤ちゃんがお母さんのお腹の中にいるときから13歳になるまで健康状態を定期的に調べる、出生コーホート(集団を追跡する)の結果をまとめていることもあり、生まれてからより妊娠中の母親の生活が大きなウエイトを占めている事例が紹介されている。

大人の常識が胎児から低年齢ゾーンに適用できると考えがちだが、この文献ではやや違っている。妊娠中のお母様は特に注意が必要。

その一つが魚介類の摂取。飽和脂肪酸より不飽和脂肪酸が好ましい。とりわけオメガ3と言われる脂肪酸が良い。さらにEPA,DHAの摂取が好ましい。耳タコ状態で食用油の選択やサプリを購入する。(筆者もその一人)だが、n-3PUFA摂取量が多いと幼児のアレルギー性鼻炎/花粉症、アレルギー性結膜炎、アトピー性皮膚炎でのリスク上昇が認められたとのこと。

ここでn-3PUFAについて復習すると、飽和脂肪酸は二重結合が0に対して1つ以上含むのが不飽和脂肪酸。オメガ3は二重結合が3、EPAは5、DHAは6個分子中に含む。オメガ6は意外にも二重結合は2個なので要注意。エイコサペンタエン酸、DHAはドコサペンタエン酸と化学式にしては愛嬌のある名前。

その他、毎日使用している洗剤は共生する微生物嚢と生物多様性を低下させ、有害微生物の上皮下組織への侵入と上皮修復機能が低下する。妊婦さんで頻繁に医療用殺菌剤を仕事で使用していた場合、妊婦から生まれた子供は気管支炎喘息やアトピー性皮膚炎になる割合が高いとのエコチル調査は報告している。妊娠中には風邪薬も避けて耐えている人が多い中、気が付かない要因でエピジェネテックな影響があることを知った。

それを知ったら、タンパクは将来なくなるからとしてコオロギが話題になっているが、エピジェネティックが明確になるまで待つのが賢明ではないだろうか。

それよりも、日本人の足元には「おから」がある。豆腐製造工程で排出される「おから」は年間4万トンとも6万トンとも言われており、多くは廃棄されている。以前は学校給食に出さたこともあったが、なぜか今はない。生おからは足が早いので流通には乗らないのだろうが、過熱蒸気処理した乾燥おからはそれがないので販売されている。もっと活用すべきだろう。野菜との和物にも好適。豆乳・牛乳に入れてもコクがある。

言うだけは誰でもできるので、早速スーパーで乾燥おからを購入し使用を開始した。日本人の胃腸とそこに住む菌と長い付き合いで証明されている「おから」や「きな粉」を利用しつつ、コオロギについては医学面でのエビデンスを蓄積していくのが好ましいと思うが如何だろうか。近くの良品店ではコオロギパウダーの売り場は消えていた。

放流は生物多様性を損なう。さて人間社会は?

学校行事だろう、孵化した幼魚を子供が一斉に放流する様子をTVなどでよく見た覚えがある。「帰ってきてね〜」の可愛い声と一緒に微笑ましい風景。漁業関係者は当然ながら放流した幼魚が成魚で戻ってくれば経済的には潤う。

そこに、なんの疑いも持っていなかったが、ある論文が発表されて驚いた。

「北海道大学とノースカロライナ大学の共同研究チームが「放流しても河川に魚は増えない、長期的には悪影響」の論文を発表した。」(研究論文は、米国科学アカデミー紀要(PNAS:Proceedings of the National Academy of Sciences)に2023年2月7日付けで掲載された。)30数枚の膨大な英語論文であり、かつ理論式を駆使しているので全文に目を通すには頭がついて行かない。ポイントは

魚の放流は既存の魚類群に影響を与える。放流された魚は増えることなく、既存生息している魚など生物群集を減らす。実際の河川における魚群集の調査と理論式が概ね一致している。実際に魚群集がどのように変化したのかは次の図を参照して下さい。

 

 

 

 

 

 

 

 

感心するのは着眼点、理論式、そして長年に亘る実地調査であろう。

この文献を見て、つい、人間社会にも言えないか?と鈍い頭によぎった。

4歳では遅いとあって英会話、ダンス、ピアノ、バイオリン、更には塾通い・・・土日は子供の将来のためとして、これらの送り迎えなど土日もゆっくりできない両親。そして然るべく学校に入り、やがて一種の孵化設備から脱して世の中に放流される。でもその放流先はよく似た人が集まって入る会社や組織という次の養殖場だったりして。そこで泳いでいるうちに淘汰される一方で全体組織の質からも影響をうけ金太郎飴的質が養生されてダイバシティは失われる。定年後に本当の放流がなされた途端に戸惑う。昔“濡れ落ち葉”の言葉があった。定年後何もすることなく奥さんに何かと付きまとう哀れな亭主をさしていた。商店街で小さなお店を持ち、たとえ経済的に恵まれていなくても明るく夫婦で支え合って暮らしている風景を羨ましく思う。

社会の流れがそうだから、我が社も主流になりそうな動きに乗り遅れないようにと飛びついたBEV一本槍はどうか。ディーゼル燃費不正がバレ、BEVという乗り合い船団的仕掛けを作り、急いで乗り始めた。だがBEVを進めたとしても自国の利益につながらないばかりか労働環境悪化につながるとわかり始めた。ウクライナ案件がトドメを刺した形でドイツが船団から離れ始めた。同調してイタリアも。BEVオンリーでは電力事情やインフラ整備が未十分なアフリカ・その他の地域に対するビジネスチャンスを放棄する形になる。彼らからみたらHEV・FCVおまけに水素エンジンとダイバシティ方針のトヨタが完全に掌握するのは具合が悪いと気がついたからでもあろう。

笑ってはいられない。日本国内を長期的に眺めるならば確実なのは人口減少である。

農業・工業・一部サービスはロボットやAIで補うことができるが、人の生活・特に移動手段については深刻であろう。現在の人口は1億2000万人だが2045年には2,000万人減少。地域別で増加するのは東京0.7%増のみ。減少率の大きい県は

秋田-41.2%         青森-36.9%         山形-32.1%         高知-31.9%         福島-31.4%

岩手-31.3%         大分-30.5%         徳島-29.3%         和歌山-29.2%     山梨-28.9%

驚くべきである。この地域の中において、さらに過疎地域において鉄道は廃止の憂き目になり、乗り物が存在しているかも疑って方針を決めることになりそうだ。少なくともBEVではなさそうだし、給油所も少ない、水素ステーションも少ない。乗合タクシーが稼働し始めているがが、ショッピングセンターも人口減により寂れるとなると生活の質=生きがいにも繋がる。複数県統合すれば却って過疎化が進行しかねない厄介な問題。

過去の事例踏襲(例えば産業都市政策)は取れない。従来の教育、会社生活の中で共通としてインプットされた(一種の情報教育の放流・育成)だけでは正解とはならない。

先日、米国の大学に留学され帰国後は旧帝大の教授になられた人と雑談した。留学された大学の研究室において後継者を選ぶときは、他大学から招聘するとのこと。いわゆる子飼いの中から指名すると、選んで頂いた教授を超えられないとのこと。そうやってダイバシティを維持しているのかと納得した。日本企業のサラリーマン社長の継承パターンとは真逆で弊害を時々見るだけに新鮮に聞こえた。

顔パス・新QR ・新タグ

以前に大阪の企業で入館の際に顔認証システムを試行のニュースがあったと思ったら早速JR大阪で実用化された。今のところは定期のみの運用で、そのためには顔写真を送付して許可されることが前提。昔は歩く速度が東京より速く、それが商都の勲章的なところがあった。開発したメーカーが大阪であり、実用化に踏み切ったのも大阪。なんとなく分かる。

今の東京ではシニアのノロノロが律速に加えて若者の携帯歩行により以前より格段に遅い。シニアのノロノロの理由は日がな1日をゆっくり過ごすには適しているからでもあるとして、歩行時に若者が瞬時を惜しんで漫画をスマホで読まなくてもと思うのは筆者だけではないと思うがどうだろう。

さて、元に戻って“顔パス”と仮称。しっくりくる名前。会社では以前は守衛さんが社員の顔を覚えていたのを置き換えただけ?とシニアがいえば、それは単独ビルオフィスの話で今は数社が入居しているから、そうはいかない。反社の人を社員が関わることなく拒否できることも採用の理由だろうか。顔パス・指紋認証などでDXするのは理解できる。社員でない訪問者は従来、受付で用紙に記入して担当者への連絡をお願いするのが普通だった。東京大改造の流れの中でITインフラの整った新設超高層ビルに集中している。自社ビルの建て替えまでの仮オフィス利用のケースも多々ある。入居社の数だけ受付が共通フロアにひしめく状態になるが実際はそうはなっていない。

訪問者がオフィスに入るやり方の一つにQRコードをゲートに当ててバーを開ける方式をとっているビルがある。その会社とはコロナ渦中は訪問することなく、訪問再開と思いきや知らない間に移転しており、QRコード方式が採用されていた。ビルのメインフロアーには訪問先の受付がない。事前に訪問をPCやスマホで約束すると、先方から入館証QRコード発行するナンバーが送付されてくる。メインフロアーにあるQR発行装置に数字をインプットし入館証を受け取る。その入館証をセキリティゲートの読み取り部にあて入館する仕組みとなっている。高層ビルを共用している会社ごとの受付はあるが、QRコード発行と同時に訪問相手のスマホに連絡が届き、受付で待っていただくスタイルなのだ。スムーズな流れである。DXの一端であり防犯も兼ねている。以前なら記入しながら受付の人と会話することができたが、それがないのはちょっと残念だが。

ビックサイトでグリーンファクトリーDXなど8種類の展示会があり、NEC、iProなど数社が顔認証システムを発表していた。多くの人が集まるような場所において特定の人を認識するところまで来ているようだ。指名手配の顔をポスターに貼っている時代が昔はあったなぁ〜との会話がもうすぐ来る。会社訪問において顔が登録されていない場合は上記のようにQRコードにて初回は入館するシステムとなっている。そのQRコードはよく知られている。非常に便利でいちいちhttps;//******と打ち込まなくても即刻アクセスできる。好きか嫌いではなく使わざるを得ない状況になっている。定食屋でも注文できない。これがデンソーの技術者が考案したとは予想外。カンバンシステムの中で効率よく資材及び製品管理のために開発をしたものと思う。これが製品のサプライチェーンが連続して可視化できるツールまでなっているのには感心する。製品によってはQRコードのサイズが合わないこともあり長方形の形も登場している。

ここで、今回の展示会で『えっ?!』と思うブースに目が行った。そこでは現行のQRコードを複写してよからぬことをすることを防止するとして、新型QRを発表。小さな記録面に細緻なQR情報を印刷することで、複写をしても複写機解像度及びトナーのサイズ制約もあるのだろう、再現はできない仕組みとなっている。また、別の展示会では産総研が導電フィラーインクを対向電極間に印刷し、導通確率50%のランダム導通パターンを印刷するタグを発表。具体的には下の図を参照されたい。

日曜日のお天気に誘われて散歩。途中の横浜税関の展示ブースに立ち寄った。模倣品との比較を展示していたが、さっぱりわからない。プロが目利きしているとしても、漏れなく真贋判定するには今回の新QRコードは役に立つのではなかろうか。

尚 コスモサインのオフィスはこじんまりしているが、スタッフの明るく笑いが絶えない雰囲気が漂っている。昨年秋に近くのビルにアネックスをオープン。面談はもちろんBiomicステインの作業やAGTシンタリングファーネス新製品ポーセレンファーネスも設置し、ステイン品の焼成も可能となっている。皆様との情報共有など“揺らぎ+笑の大事さもあり「フード担当が皆様のお越しをお待ちしています」とのこと。是非お出かけ下さい。勿論 大事なお客さまのお顔は脳内QRコードにインプットされていますので”自動顔パス“です。

5G庶民感覚

確かに携帯がないと不便ではあるが、歩きスマホもせず、電車でずっと画面を見るようなこととは無縁だけに機種変更には興味がなかった。たまたま量販店にプリンターのインク購入のついでに、携帯電話会社のブースをブラブラ。最新機種ではカメラの性能が良いのだとか通信速度が速いとか・・それはわかっている。だからといって機種変までは気がすすまなかった。

だが・・・素人の落とし穴を店員さんに見抜かれてしまった。「満充になってから電源を外さず放置していることありませんか? 頻繁に充電することありませんか? 充電しながら利用したことありませんか?」 そう言われる根拠は何? 充電メーターでは100%充電となっているから問題はないはず・・・。それが間違いだと指摘されて、大学時代の電気化学講義を思い出した。電池の劣化度に於ける充電率が100%を示しているに過ぎなく、劣化度が80になれば事実上利用が厳しい。

実際チェックすると90%を切りそうな雰囲気。そうなると鈍い頭でも機種変更を考えないといけないなぁ・・・・となっていたが、そうはいっても費用対効果を考えると躊躇していた。

かくなる潜在意識がある中、事件が起こった。今使っているキャリアの関連会社を名乗る人物から夜8時ごろ固定電話。「契約者のお名前は間違いありませんか?年齢が**以下なら光通信費用がディスカウントすることになったので、年齢の確認をさせて下さい」と。

出だしから怪しい。携帯電話契約の書類があれば直接携帯に電話をするはずなのに、固定電話にかけてきた。サービス契約書には生年月日が記載されているので、わざわざ確認する必要がない。間違いなく新種のオレオレ詐欺だろうと判断した。

対象とは違うと3回伝えても粘る相手。いや値引きがあろうが興味ありません!と拒否したところ、男は何も言わず電話を切った。翌日確認をすると、値引きの案件と年齢の案件は別物であることがわかり、詐欺的行為の手の内とはこんなものかと分かった。

さて、かくなる事件が起きたことで、この本物のキャリア会社には申し訳ないがこの回線を使う気が減衰した。重い腰をあげて機種変更とキャリア変更をすることにした。

一年前から断捨離として生命保険の見直し、使用頻度が低い割に年会費とプライドが高いカード、効果があるのか不明な健康ドラッグ類の見直しをやってきたが、切り替えが億劫だが携帯費用もバカにならないので、この際見直すことにした。

現在では機種変更イコール4Gから5Gへの乗り換えになる。

5G,6Gの世界は理解しているつもりだが、庶民の暮らしにおいて通信遅延時間の短縮は関係がなさそう。遠隔操作による離島の手術サポートなど社会インフラとして必要であるとの理解のもと5G基地局の整備がなされているのは知っている。

先月だったか記憶が定かでないが、NHKが報じたニュースがあった。それは通行人が突然倒れたとして、そばにいた人が救急車を要請すると消防局からの通信で画像を共有して緊急処置を指導するシステムが全国25都道府県で実施されていると報じた。通信速度と容量が大きい方が良いのはわかる。翌日、川崎ラゾーナに所用で行ったときに防災展をやっていたので、消防ブースでこのことを確認した。二人の署員は口を揃えて「初めて聞いた。ホント?」。驚いたのは当方。インフラが進まなければ庶民にとって5G利用は先になりそう。

3Gは廃止され、やがて4Gもその流れでなくなる。庶民はそれに従うだけ。画質が良くなる、大容量のDLが瞬時に可能と言っても具体的にはDL時間より脳の遅延時間が問題であり、テレワークも徐々に元に戻りつつある中、本当に必要の疑問が正直なところ。

話は転じて会社間のメールに対する返信が早い・遅いは社会に於ける会社のレベルと概ねあっていると思っている。返信の遅い会社は社内情報伝達の仕組みが旧態然で社会のスピードに乗らなくても問題はないと考えているのでは?とみる。ここに無頓着な会社が日本には案外多くビジネスチャンスを逃しかねない。いや無頓着は言い過ぎで「完璧な返信をするには時間がかかる。だから遅くなる」が本当かも知れないが、「メールを見た。いつまでに返信する」と返信する人や会社はあまりいない。

この説に従うと庶民レベルでも今は5G,6Gは関係がない・・・と言っていることこそ「遅れてる・・」と判断されかねない。今のところ何を持って判断するのか分からないが、何が利用できそうかと見る目だけは持たないといけないと思う。

(実はこのブログは4Gから5Gへの機種変更手続きの間に書いた。結果として波に乗れない文章となってしまった。いつものブログもそうだとの声が聞こえそうだが)

蒸気機関車とコーヒー

やや固い話題が続いたので、今回はコーヒーを飲みながらの息抜きブログです。

皆さんはエスプレッソがお好きですか? 本格的に高圧スチームでコーヒー粉からエキスを抽出する。カップに注いだ後で泡立てたミルクで表面にハートマークやパンダなど模様を描いて提供されるラテも人気がある。熱いこともあるが、せっかくの模様を壊して飲むには速度が遅くなる。

お店と略同じ性能の家庭用マシンは18万円前後とあって到底手が届かない。いや6万円であるよと言われても、それも手が届かない。そんなとき3,000円前後で買えるイタリアのビアレッティ(モカ)で大外れではないができる。と書いたが念の為お店を訪れると6,000円。蒸気でコーヒーを抽出する原理とはいえ価格も上昇しなくても・・・と冗談の一つも言いたいところ。

コーヒーの淹れ方の多くは豆を挽き、濾過装置のサーバーにいれてお湯を注ぎ抽出濾過するのに対して、ビアレッティは 下部容器に水またはお湯を入れ、コンロの直火で加熱。下部容器の上部にメッシュと濾紙を設えコーヒー粉を充填して水蒸気を通過させる。装置の頂点で濾液(エスプレッソ)が得られる仕組みである。お湯の沸騰準密閉容器内圧力は高くても+0.2~0.4気圧程度なので、本格装置の10気圧には到底及ばない。それでもエスプレッソもどきは得られる。ハートマークを描くと、それだけでテーブルで待っている家族・友人はわぁ〜と驚く、その様もコーヒーの一つの楽しみ方だ。

気楽にと言いつつ、ミルクの泡立ても化学屋らしい見方をしてしまう。ミルクに砂糖を2%ほど加え55〜60℃に加熱し高速攪拌機で泡立てる。甘味もあるが砂糖の分子によるミルクのタンパク質との相互作用(見かけの擬架橋もどき?が形成されていると想像しているが)起泡性と気泡の安定性に関係するからでもある。さらにカップに注ぐときはカフェオレもラテも最初はカップから高い位置からミルクを落とすが、流動する時の剪断と重量により消泡しコーヒーよりミルクの比重が高いためにカップの底に沈む。ついで、カップの淵からミルクを流し込むと剪断速度が極めて遅いため消泡することなく表面に浮かぶ。計算が得意な人は泡のサイズ=内圧と外からの剪断で消泡現象がどの速度でクリティカルになるか式を作れるはずだ。できたら教えて欲しい。膜厚など必要なパラメーターも加えて。

タイトルの蒸気機関車が一向に出てこない! だが感が鋭い皆様ならお分かりの通り、蒸気で抽出する方法は19世紀の蒸気機関車の実用化に始まり、それまでのコーヒー粉を鍋で煮詰める方法などから変化したことに深く関係しているからである。サイフォン方式もアルコールランプで加熱され内圧が高くなり上の容器にお湯がいき抽出する仕組みで広い範囲で蒸気機関車に触発された抽出とも言える。

ご家庭では圧力釜の1つや2つはあるはずだが、慣れていない男にとっては圧力調整弁からのシュッシューと音が出始めると気が気でない。釜の1/3を超えるほどに内容物があると噴き出すトラブルがあるからだ。友人は吹き出して天井に張り付いて後の掃除が大変だった、その事件以後は圧力釜も普通の鍋として利用しているとのこと。このビアレッティにも過剰加圧防止はあるものの、本当のところはドキドキ物ではある。

コーヒーの淹れ方も、忙しい人向けには自動抽出やサーバーの上部に一度にお湯を注ぐと徐々に点滴注湯できる器具などある。だが、ゆっくりするときは昔ながらのサイフォンが好ましい。茶店でみる機会は少なくなった。学生の頃はサイフォンの前で講座の助手と話をしながら過ごしたあの風景が思い出される。時効だから言えば、その助手にはお気に入りのママさんがおられたことで、当方はそれに利用されていることはわかっていた。マイルスデービスがどうのこうのとか、コルトレーンのあれが好きだとか、知ったかぶりのJAZZ談義するうちにコーヒーが仕上がりいただく。今流行りのドヤスタバはなかった。のんびりしたモノだった。

これからのコーヒーの淹れ方も技術の進歩とともに変化するだろう。筆者が想像するに亞臨界か超臨界抽出、抽出後の濾液のカラム分離によるテイストの調節などが起こるのではなかろうか? いかにも化学実験室のようでは味気ないので、そこは芸術家の人々が活躍してくれるだろう。蒸気機関車が発明してエスプレッソ。今は電磁石で電車が浮く時代ならば、どのようなことになるのか? 淹れたてのコーヒーを電車に持ち込みゆっくり考えてみよう。

シンギュラリティの入り口気分

京都の友人からリスクリングなんて英語をなぜ使うのかなぁ?と問いかけがあった。日本は経済、医学、科学、その他文化において外国語を的確な日本語に置き換えることで国民に周知することができ成長してきた。それを踏まえずに役所はカッコいいと思って作ったと思うが、再学習であると分からない人にとっては機会損失リスクの(risk-ring)だろうねと答えた。座布団3枚のお返しがあった。

これは笑えるとしても、さて何を再学習するのだろうか? それこそシンギュラリティが迫っているというのに。またここでも英語だ。だいたいこの言葉がしっくりこない日本人代表が筆者だ。日本人は言語面の原因もあり、世界の蚊帳の外に置かれているとも識者は言う。Webによると技術的特異点で人間と人工知能の臨界点を指す言葉とある。DXなど話題がここ3年で良く目にする。ホワイトサラリーマンの職業はことごとく人工知能にとって代わられるとのことなので、子供、孫の職業に影響するだけに、無頓着ではいられない。

さりながら身近に出来事が起きないと肌感覚ですら感じないのが正直なところ。そんな時にこの1週間で経験したことを次に紹介する。

パソコンmacのOSをバージョンアップすべくDLした。次にパスワードを要求されたが動かない。パスワード記録帳を確認しても間違いがない。確定申告のICカード読み取り装置と連携させないと間に合わない。macサポートのあるショップに出かけた。「以前はお客様のパソコンを一緒に操作しながら解決したのですが、今は個人情報の関係でできないです。申し訳ない。電話相談があります」。そうか時代が変わったのなら是非もない。早速、電話相談すると再起動してくださいのみでダメ。チャットではそれ以上なら有償で教えるとのことで申し込むと「少しお待ちください」表示が14時間点灯。待ちに待った答えがパスワード変更方法のみ。早速トライしたがダメ。あぁ〜DLするんじゃなかった〜と反省するも手遅れ。PINコードを試しに入れたら動き始めた。動いたから良かったが、なぜかが分からない。

前回は遊びで使ったChatGPTに今回は本気でなぜか?と質問すると非常に丁寧な回答があり納得。Microsoft支援企業のOpen AIなのにmacの連中より詳しいし、無料かつ丁寧。何のことはない、数多ある情報を拾ってくる速度・精度が人間を超えているのだ。上記に紹介したサポート業務はなくなるだろう。どのような回答だったかmac OSで困っている人がおられるだろうとして末尾に紹介する。

さて、身近なところでシンギュラリティと言えないが入り口にはタッチした気分になったので、色々考えた。

今のコンピューターであればオープンソースを利用してネタを代入すれば論文や特許などの文章作成は多分5分程度で大凡はできるだろう。 論文を査読する方も、拒絶理由を考える特許庁もそれで対処するかも知れない。

例えばクリエイティプネタの論文3、特許を5件持っていれば博士号論文提出は1ヶ月で十分な時代になったとも言える。実験ノートにクリエイティブ案件を記入した瞬間以前の文献・特許・公知情報に対して新規であることが証明される必要がある。論文提出時の情報では瞬間に更新されており無効となる危険もある。それほど情報の移動が速いと覚悟しないといけない。知的財産権も然り。

量子コンピューターがいよいよ実用化してきた。現行のパソコンを数台繋げたコンピューターでも人は追いつけないのに、量子コンピューターでは到底人類は追いつけない。では何が職業として残るのか、基本は体力を使う業務(スポーツも含む)、ロボットを巧みに稼働させる労働(危険な現場、介護、警護)、体力とスキル知識が必要な医者(歯科医)だろう。DXやシンギュラリティで疲れた人を癒す精神科医は生き残る。

そして、技術面ではそんな馬鹿なぁ〜!!と驚くようなことを発想し挫けずにトライする者が生き残る時代になった。 そのような人材を抱える資本家と現在のクレージー技術者などを活かせる時代。それが意外にも早く来そうだ。

時代においてクレイジーと言われ、時には排そ対象にもなったこともあるイノベーションが時間をおいて認められた歴史を考えると、今でこそシンギュラリティの新しい言葉で表現されるものの、実は通底するものは共通している。但し、その速度があまりに速い。それも楽しみに利用する側に立って挑戦するか否か我々が問われている。